●ベン・ハーのキャストたちの演技
ベン・ハー 演技について俳優の演技
主演したチャールトン・ヘストンの演技の秀逸さについては特筆するまでもないでしょう。彼はこの映画で初めて主演男優賞を受賞しました。ベン・ハーの撮影の仕事直後に出演した同題材(史劇)の映画、たとえば「エル・シド」などでも、押さえ気味ながら、彼の個性的な演技が光っていました。
スティーブン・ボイド他のキャストの演技も負けてはいませんでした。ここに高い評価を得ているウィリアム・ワイラー監督の演出の腕を感じますし、また監督を信頼してその求めるものすべてに応じていったキャストたちの忍耐強さに拍手をおくりたい気持ちです。
そのようなスタッフ、キャスト皆が一致団結して作り上げた数々ある名シーンの中で特に心に強く焼き付いたのは次のようなシーンです。
1,エルサレムに到着したメッサラが自分が指揮するローマ軍団に満悦してまじまじと眺める。
2,メッサラとベン・ハーが再会を喜び合い、肩を抱き顔を合わせ感激し合う。
3,興奮しながら立身出世を説くメッサラと次第にベン・ハーがそれに激しく反発していく。
4,成長したエスターが、数年ぶりに合うベン・ハーを前にして恥じらいを隠せずにたたずむ。
5,ベン・ハーとエスターが運命の別れに切なさを抑えきれず抱擁し合う。涙を拭いベン・ハーの前を立ち去るエスターがあまりにも美しい。
6,無実を叫ぶベン・ハーを無視し、目で部下の兵士に指示を送るメッサラ。
7,冷たくあしらうメッサラに母と妹の釈放を涙ながらに訴えるベン・ハー。
8,砂漠に倒れ死を目前にして最後の助けを求めながら祈るベン・ハー。
9,兵士の制止を聞かず、苦しむベン・ハーに水を与え続けるキリスト。映画では背しか見せないが、威厳と神々しさをほとばしらせた演技はこの世界一有名な人物を、人々のイメージを壊すことなく荘厳に表現している。
10,船室のアリアスにメッサラへの復讐を遂げることが生きるバネだと淡々と語るベン・ハー。憎しみが体中にみなぎっているという感じが出ていて迫力があった。
11,アリアスに認められ甲板を後にする途中、ガレー船の船底で櫂を漕いでいる奴隷達が目に入り立ち止まってしまうベン・ハー。自分だけが自由の身になることに対しての後ろめたさをうまく表現していた。
12,アリアスの邸宅で一人故郷を思うシーン。見ていても寂しさがこみ上げてくる。
13,井戸の側へ寝ころぶベン・ハーにキリストだと勘違いしてバルサザールが声をかける。人違いであることを知りがっかりして肩を落とす。
14,イルデリムのテントで、バルサザールの語りに耳を傾けているうちに心が和んでくるベン・ハー。その昔救世主キリストの誕生を祝い礼拝したことを話すうちに思いが熱く高まるバルサザール。
15,悲願の帰郷を遂げ、故郷の家の門にキスをして頬を寄せるベン・ハー。あまりに変わり果てた邸宅の姿に打ちひしがれる姿。
16,拷問を受け不自由な体になったサイモニデスとの再会。
17,事件のあとのメッサラとの再会。憎しみを露わにするベン・ハー。驚きを隠せず動揺するメッサラ。
18,生きていた母と妹が自分たちの邸宅へ訪れ、エスターに最後の願いを伝える。あまりにも悲しく哀れな二人を見つめる優しいエスターの視線が印象に残る。
19,母妹の死をエスターに告げられ、狂おしく泣き崩れるベン・ハー。みなぎる憎しみ。メッサラへの復讐を強く誓う。
20,死の床に横たわるメッサラが最後の力を振り絞りベン・ハーへの憎しみを投げつける。傷ついた彼をただ淡々と見つめていたベン・ハーは母と妹が生きていることを明かされ愕然とする。
21,ライの谷で、変わり果てた母と妹の姿を見て泣きうなだれるベン・ハー。
22,憎しみを捨てきれないベン・ハーにエスターが若いラビの存在を伝える。そのラビこそがキリストである。失望したエスターが、ベン・ハーの顔にメッサラの影を見た、と言うと、サッとベン・ハーの顔から血の気が引く。改めて憎しみに束縛され苦しみあえぐ自分の姿を見つめ直すベン・ハー。
23,ライの谷へ母と妹を救いに来たベン・ハー。自分の姿を見られて逃げまどう母に近づき、目を潤ませながら苦しんだ母の目を見つめその思いを汲み取る。妹も救いだし、愛おしく、強く抱きしめる。
24,処刑の丘に向かうキリストに恩返しの水を持ち運ぶベン・ハー。キリストの顔を見た瞬間、心が洗われたような不思議な雰囲気に支配されていく。
25,ラストシーン。家族の絆を再び取り戻し、希望とやがて来る平和に期待を寄せながら、いつまでも肩を寄せ合う4人。
26,戦車競争シーンの迫力ある馬たちの走りや、御者達の命がけのスタント。
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